内観療法とは? 具体的なやり方、効果やメリットについて

座禅を組んで内観をする女性

内観療法とは「身調べ」という浄土真宗の修行法から宗教的な色合いを取り除いて作られた心理療法。

内観という言葉も一般的になってきたので、内観療法というものもなんとなくイメージできるのではないでしょうか。

では、内観療法とはなにか、おもな内観療法の具体的な進め方、効果などについてわかりやすくお伝えします。

※この記事は医師による監修ではありません。当情報をもとにしたご判断や行動はご自身の責任においてお願いいたします。

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【目次】

内観療法とは?

内観療法は、自律神経失調症の治療においては東洋的アプローチからおこなう心理療法です。

自律神経失調症の治療はもとより、人間関係を解決する目的や、企業の研修、少年院や刑務所での矯正などあらゆる分野で使われています。

心理療法

内観という言葉のとおり自分の内面をしっかりと見つめることで、あらたな気づきがあったり、忘れていたことを思い出して感謝の気持ちがあふれてきたり。

自分のよい面、悪い面、相手の気持ちへの感謝などを通じて、物事への受け止め方が変わってくるのです。

内観療法のやり方

内観療法は半畳などのせまく仕切られたスペースで、両親・祖父母・兄弟・姉妹・夫(妻)といった身近な人に対して、今までに、

  • してもらったこと
  • お返しにしてあげたこと
  • 心配や迷惑をかけたこと

という観点で年代順に具体的なできごとを思い起こして、自分のことや身近なまわりの人たちとの関係について見直していく方法です。

  • 幼少の頃に、母親にしてもらったことを振りかえって鮮明に思い出す
    ※おやつを手作りしてくれた、家事の手をとめて話を聞いてくれた、など
  • 幼少の頃に、母親にお返しにしてあげたことを思い出す
    ※肩をもんであげた、お小遣いで花を買った、など
  • 幼少の頃に、母親に迷惑をかけたことを思い出す
    ※黙って遊びにいって心配かけた、お遊戯でケガをして心配かけた、など

幼少の頃の次は小学生の頃のこと

幼少の頃についてそれぞれの出来事を思い起こしたら、今度は小学生の頃に、母親にしてもらったこと、お返しにしてあげたこと、心配や迷惑をかけたこと、を思い出していくかたちで内観療法を進めます。

次は、中学生の頃に母親に、高校性の頃に母親に、大学生の頃に母親に、社会人になってから母親に、と現在までさかのぼって思い出します。

母親がおわったら、同じように、

  • 父親にしてもらったこと、お返しにしてあげたこと、心配や迷惑をかけたこと、の出来事を幼少のころから順に思い出す
  • 祖父母に
  • 兄弟、姉妹に
  • 夫(妻)に
  • 友達に
  • 上司(部下)に
  • 同僚に

と思い出して掘り下げていくのが内観療法です。

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おもな内観療法の具体的な進め方

内観療法もいろいろな方法があります。おもなものは集中内観療法と日常内観療法の2つ。それぞれのやり方について説明していきます。

集中内観療法

集中内観療法では、最初の1週間は指導者の面接を1日に数回うけながら一日じゅう内観をおこないます。内観を2時間おこなったら指導者と3分から5分ほど面接をするといったかたちです。

面接では2時間の内観中に、誰に対しての、いつ頃の、どんなできごとを思い出したのか、それに対してなにを感じたのか、について話します。

たとえば、母親に、幼稚園の頃に、してもらったこと、お返しにしてあげたこと、心配や迷惑をかけたこと、について思い出して面接で指導者と話をする。

そして次の2時間の内観では母親に、小学1年生から3年生の間に、してもらったこと、お返しにしてあげたこと、心配や迷惑をかけたこと、について思い出して面接で話す、といったかたちで進めます。

思い出す時は映像のように鮮明に

思い出す時は「お遊戯でケガして心配かけたことあったなぁ」という程度ではなく、

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遊具を足に落としてケガをした時、父親も母親も病院にかけつけてくれたなぁ。

痛くて泣いている私のそばに母はつきっきりで、頭をなでてくれたり歌をうたったり話をしてくれたりして、少しでも痛みから気がまぎれるようにしてくれた。

夜中眠れない時もずっと起きててくれた。家のことや兄の世話もあっただろうから、ケガがおさまるまで何日かはほとんど寝てなかったんだろう。

大きなケガではなかったのにあんなにも心配してくれて愛情をたっぷりそそいでくれた。

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というように、その時のできごとが映像でよみがえるように鮮明に思い出しましょう。

集中内観療法の期間中は外界と遮断された部屋でおこない、日常のさまざまな情報は遮断されます。

ほかの参加者と話すこともせず、ただただ自分の内面を見つめなおす作業を続けていきます。

食事もすべて部屋に運ばれてきますし、自分で食事をさげることもしません。テレビ・新聞・携帯電話から遮断され、指導者(面接者)以外と話をすることもありません。

日常内観療法(分散内観療法)

日常内観療法という方法もあります。

これは集中内観療法を受けて内観のやり方を身につけてからおこなう方法で、日常生活の中で一人になれる時に1時間ほどおこないます。

部屋で一人になって内観をするための時間を1時間作る、というのは普段の生活の中では意外とむずかしいかもしれません。

ですので、通勤電車の中、お風呂に入っている時、夜寝る前(布団に入ってから)、といった時間を使って日常内観をするのがよいと思います。

集中内観療法と違って面接者がいませんので、できごとを思い出すだけでもよいですしノートなどに書きとめるのもよいですね。

日記内観療法

そのほかに日記をつけるかたちで内観をおこない、その日記をもとに指導者にアドバイスをもらう日記内観療法もあります。

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内観療法の効果

人は、自分の悪い面や弱い面はあまり見たくないものです。見ないようにしているので改善されるのも難しい。意識しないところでその悪い面が出てしまって、人を傷つけてしまうことも珍しくないでしょう。

内観療法では良い面も悪い面もしっかりと向き合い、今までたくさんの人が自分を許してくれたこと、支えてくれたこと、生かされていることに、心から感謝できるようになります。と同時に、相手の気持ちもより理解できるようになります。

自分を理解し、相手を理解し、感謝の心でいられると、人に対しても物事に対しても、今までとは違った受けとめ方ができるようになります。

いままで苦手だった人から言われる言葉も感謝で受け止められるようになったり、困難にあっても感謝できるようになることでストレスが軽くなり、自律神経失調症の症状も改善に向かっていくというのが内観療法の目的です。

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執筆者
この記事の執筆者:
株式会社ナチュラルハーモニー代表 斉藤豊

1995年から栄養補助食品の販売業務をきっかけに栄養学を学ぶ。以来、健康食品・健康器具など10年の業務経験とともに整体師から自律神経など体のしくみを学び、2006年に健康通販(株)ナチュラルハーモニーを設立。
リラックスジェル「プアーナ」、内科医・医学博士の堀田忠弘先生考案・監修「野菜力で輝け」、医学博士の吉村尚子先生開発の和漢の健康茶「浄活茶」など天然由来100%の健康商品を販売して今年で17年目を迎える。※執筆者プロフィールはこちら

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